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執筆者の写真 Jiro Sakamoto

第33話、実際に戦争をやってる国に行った時に感じたこと。

更新日:2020年1月31日




どんよりとした空

旧共産国風情のあふれるボロボロの建物群

やたらフレンドリーなストリートファイターのザンギエフみたいなむさくるしいオッサン達。

街中で良く見かけるスーパーゴージャスな長身の金髪美女達。


そんなワクワクする要素たっぷりの東欧の旅。



当時の旅にあたり一番行こうか行かないでおこうかギリギリまで迷っていたのがウクライナだった、その理由は、2014年当時はロシアと揉めていて、それがちょうど戦争にまで発展していた時だった。(クリミア危機)


バルカン半島からクリミア半島一帯は複雑な歴史が絡み合い、戦争の火種がたくさんあるんだけれど、まさにそれが現在進行形でおこっている時だった。


その時中央~東ヨーロッパあたりをウロウロしていた僕は、リトアニア(個人的にヨーロッパで一番好きな国)から、ベラルーシ(ドラクエの呪文っぽい名前の国)へいた。



そして、そのまま南に下ると、そこにあるのはウクライナだった。

飛行機で飛びたくない僕は、そこを通過するのが最も自然な流れだった。


しかし、、、普通に考えたら、

『戦争やってる国になんて行くものじゃない。』

と、100人中99人くらいは言うだろう。


もちろん僕もいろんな人に警告されたし、行くまでは正直怖かった。

旅中の身の安全には気を使い、無事に帰るというのが旅人の任務。


道中知り合った現地人の友達は『戦争やってるのはロシアの国境、西側なら大丈夫だよ。』

といってはくれたものの、ガチで現在進行形で戦争やってる国なんて行かない方がよっぽど賢い選択。


でもとりあえず来た、もちろん最大限に情報を収集して、首都キエフだけなら安全だと思っての判断だった。




それは通り道だったからってのもあって、当初の予定は速やかに通り抜けるつもりでいた。





首都キエフは何だか普通じゃない様子だった。


路上では拡声器を使って群衆に何かを訴えている人を見た

そして、いろんなところでウクライナの国歌が流れていたり、そしてそれを合唱していたり。




メディアでは毎日のようおそらくプロパガンダが報道されているようだった、経済的にも全然活気を感じなかった、ショッピングモールはシャッター街だらけだったし、観光客なんて全然いない、自国通貨が下がりすぎているために物価もあがって地元の人は苦しんでいると言っていた。



政治的にも外交も問題だらけ。


道中に出会ったロシア人、ウクライナ人との双方の話を聞いたけれど、どちらもどちらで汚職まみれ、単純にウクライナが善、ロシアが悪とは言えない。細かいところはよくわからないけれど双方に双方の正義のために戦ってるということはわかった。


一番の犠牲者はプロパガンダをすりこまれ、命を掛けて自分の国を守るために戦わされてる若者たち、そしてたまたまそこに住んでいた、戦場として踏みにじられた人たち。




幸い、僕が訪問していた首都キエフは戦場にはなってないけれど。

民衆はたびたびデモとかやってて国旗を掲げまくって騒音鳴らしまくったり叫んだり、歩道のフェンスとか壁とか柱とか自国の国旗色の青と黄色に塗りたくって、本当にここまで狂気じみた愛国心むき出しの国には今まで来た事がない。


色んな国を訪問したけれど、さすがにこんな異様なところは初めてだった。


自然と僕も、ここに来て初めて国という概念を考えさせられた。

不思議な気持ちだった。





もちろん安全のためには早く次の国に抜けてしまうべきなんだけど、、、何というか、、明らかに普通じゃない事態だから、何か特別な、言葉では説明できない今まで感じたことない気持ちになった。


今まで経験したこともなかったような空間にいる自分、今まで考えたことのないようなことを初めて考えている自分。


このまま通り過ぎたら何だかもったいない気がした、ということでしばらくそこにいることにした。


もちろん最大限の安全性確保と最新ニュースを確認しながら、、、


滞在中は色んな人を紹介してもらい、色んなところに顔を出しては色んな人と積極的に会話した、とりあえず沢山会話をした。


多くの人は僕が訪問してくれたこと喜んでくれていた。


喜んで色々と語ってくれた。




いろんな広場ではウクライナの伝統の服をきて何かの集会をやっていた。

そして毎日のように軍人達や物資が東へ送られてる現場を見た。





田舎の農場にしばらく滞在し、家を建てるのを手伝ったり



大学の日本語教室でボランティアやったり、現地の大学生と話したり、日本人コミニュティ、インターナショナルなコミ二ティにも参加したり。


とある人はもともとキエフで働いていたクリミア人、前の変遷の時に家族か付き合いの長い友達かどちらかを選ばなくてはならなくなり、仕事を捨てて家族を選んでクリミアに帰り、ロシア人になってしまったために簡単にウクライナの友達とあえなくなり、大変なビザ申請をして久しぶりに友人に会いに滞在しに来た人。


東の地区に住んでたけど今回の戦争勃発で仕事を失い、家族や友達の支援あってキエフに避難してきた人。


長距離バスのバス停では、東から避難してきたけれど、半年ぶりに家族に会いたくてわざわざ危険を冒して戦争地区までバスで帰っている途中だった22歳の女の子にもであった、関係ないけど超美人だった。





「生まれて初めて国という存在について考えた」


「俺の沢山の友達はもう戦場にいって戦死した」


「つい先日、軍隊の基礎教育を受ける申請を済ませた、次のトレーニングを終えればいつでも希望すれば戦地へ行ける」


「俺は人を殺したいじゃない、自由と平和が好きで、それを守りたいから戦いたいんだ」


「この国はクソだ、すべてが本当にダメだ。それでも俺が生まれ育った国であって、好きなんだ」


「死ぬのは恐くない、自分の意思に従って正しく生きれないほうが怖い、俺がやらないなら誰がやるんだ?!」


そんな映画みたいなことを本気で喋っている人達にも出会った。


『国なんてそんなもんどうでもいいだろう!!僕はこんな国よりも君の命のほうが大事だ!!戦争になんか行くもんじゃない!!』

と僕はいったりもしたけど、そんなかっこ悪い言葉はもちろんだけど彼らには響かない


もちろんみんながみんなそういう風に考えてはいない、残念ながら毎日毎日東に兵隊が送られて、戦場で死んでいっている人はそういう強い心をもった誇り高い人々だ。そんなもんだろう。


僕にとってのウクライナ滞在。

ここは本当に分厚い国境だった。

メディアとか国云々は置いといて、当たり前だけどそこにはそこに住んでる人達がいて、こういう時だからこそ一人一人が真剣にこの問題に向き合って考えてる、所詮はいち旅行者の観点ではあるけれど、それをほんの少しだけ感じることができた。


全部で2週間くらいいたかな?

もう少し長めにいたかったけど、何というか潮時なのを肌で感じた。


所詮僕は旅行者だ、何かを深追いしたって仕方ない。


今度またこの国に平和が戻ってきた時に帰ってきたいと思った。

どう言葉にすればいいか、言葉では綴れないけれど。それは現地人には失礼な言葉になるかもしれないけれど、本当に来てよかったと思う。


こんなに美しいと感じた国は初めてだった。





とある会話の中で、1つ質問されて怖くなったことを思い出した。


『君だったらもし中国と日本の戦争になって国の危機だったとしたら命を掛けて戦うか??』という質問。


恥ずかしながら、僕の答えはNoだった。

国の存続よりも自分の命のほうが大事だ。


特に元自衛官であるだけにすごく恥ずかしい答えだ・・・

でも実をいうと隊員の士気というのはそんなものだった。


とある教育隊で、教官が『戦争になったら出ていく覚悟があるものは手を挙げろ』

という質問に対し、誰も手を挙げなかった。


前の戦争を戦い抜いた先祖様たちにはとても聞かせられない話。

ほとんどの人は手を上げたらクレイジーだと思われるから周りの空気を読んで手をあげなかったんだろうと思うけれど、、、、


僕はただ自分を鍛えたいから入隊しただけで、国を守りたいからというわけではなかった。

それでも、災害派遣など、体をはって人の役に立ちたいという強い意志があった分、僕は比較的意識高い方だったと思う。


多くの隊員はもちろんそんなことさえ考えてない、自分の意見を持ことがご法度な雰囲気もあるため、普段は思考停止させて日々の業務をこなして、休みの日はギャンブルに行ったり飲みにいったりお姉ちゃんのお店に行って経済活動をするというのがデフォルトだった世界。


でも、よく覚えてる・・・空気感の変化を感じて怖くなったことがある。

北朝鮮が日本海へ向けミサイル実験をしたときだった。


僕らは事態が落ち着くまで外出禁止で基本待機状態になる、数日から数週間。


その時のピリピリ具合、、、その時ばかりは多くの人が性格悪くなる。

本当にいざとなったら戦争にもいくような雰囲気を感じた。

もちろん誰も行きたくないんだろうけど、そういう空気感になる、逃げるなんてありえない・・・・


国、組織、集団の影響力というのはそこまで人を変える・・・・

ということをよく覚えてる。


そして、今回の戦争に関しても、、、一応日本だってロシアと問題を持っているわけだし、中国や韓国とも持っている状態、決して他人事ではないように思った。


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