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【宿泊税は誰のための制度?】福岡県の一律課税に想う、ゲストハウス兼業議員からの疑問

更新日:19 分前



今回は議員としての活動の報告です

先日、八女市議会にて福岡県の宿泊税制度に関する問題点 を3月の一般質問の場で取り上げました。この制度はもともと観光振興のために導入された目的税であり、その趣旨には理解を示しつつも、特に小規模な宿泊事業者にとって 業務負担増になっている現状や不公平感を指摘させていただきました。


今回一般質問にてこのテーマを選んだのは、議員になる前々から自分自身もおかしいと思ってたことだし、八女市だけでなく福岡県全域の宿仲間たちは基本的に同じように思っていたこと。くしくもこのことが僕が最初の最初に地方政治に興味をもったきっかけでもありました。なぜ自分たちだけこんなことをしないといけないんだろう、ああそういう事か、と


そして、今、まさに宿泊税を採用する自治体がどんどん増えて行こうとしていることに加え、自治体によっては制度の見直し修正が行われているという状況にもあります。なのでこれを訴えるなら今がチャンスだ! 

と思いました。


議場で、八女市長に対し「市として県にこの声を届けるべきではないか」と質問いたしました。市長からは、「委員会に直接関わる立場ではないが、市長会などで機会があった際は周辺自治体とこうした課題を共有し、坂本からの提案をもとに議論したい」との答弁をいただきました。


つまり、市長としても僕の指摘には一定の理解を示しているというようなオフィシャル見解を頂いたと理解しました。

しかし、もちろんそれだけではさすがに動かないだろうから

(蓑原市長もそれだけでは独断で動けない立場にあるだろうから)


それ以降は県の政策である以上はやはり県議の先生にも相談に行くべきだろうという考えをもって本日、自民党県議である桐明県議ににアポを取らせていただいて意見交換及び要望に伺いました。


※地方政治のぶっちゃげ話になりますが、八女市には県議の先生が桐明先生と栗原先生と2人います。政治の世界には縄張り意識がどうしても根強いので僕たちが県議の先生に相談に行くときにどちらに相談に行くべきなのか悩んでしまいます。どちらの顔を立てるかとかどちらに着いていくかのように考える方もいますので、、、

今回の件は僕が市議になる前からも桐明県議に発言させていただいていたことでもありましたので桐明県議に相談させていただきました。 農業関係など、また別の件で相談に伺う必要があるときは栗原県議のところへ相談させていただきたいと思ってる次第です。

それから、僕自身が宿泊業の兼業議員なのです、今回は自分の周りの人たちの声を届けるのが主でありながらも、結果的に自分の生業の減税を求めることにもつながってしまうわけなので、自分の直接トクになってしまうことを議場で言うのは『ダメなわけではないけれどけしからん感』があったり批判の対象になりやすい内容であるのは事実です。しかしながらこればっかりは、、、、僕以上に八女の宿泊業界の声を聞いている議員はいないだろう、僕がもっとも実態に詳しい領域になってしまう以上は僕しか声をあげれる人がいないので仕方ないです。



さて、本題です

こちら僕が作成した資料を元に日本全国の宿泊税導入自治体を見てみましょう。


■全国の宿泊税の実情と福岡県の立ち位置

現在、都道府県単位で宿泊税を導入しているのは、東京都・大阪府・福岡県の三つのみです。(県では福岡県だけとなってます)そのうち東京都・大阪府といった大都市は最大でも税率1.0%前後と比較的低い設定になっています。


一方、京都市やニセコ町、福岡県などでは、低価格帯の宿泊でも免税のラインが設けられておらず、安価な宿ほど実質的な税率が高くなってしまう設計です。特に倶知安町では定率2%という方式を採用し、高価格帯に応じて税額が上がる仕組みとなっています。お電話で聞き取りしたところ、リゾートを有する倶知安は一日ではなく一週間や一ヵ月などの長期滞在が多いからそうなってるようです


2025年には常滑市や熱海市も導入しましたが、どちらも一律200円課税であるなど、自治体によって制度設計はバラバラです。


それから、金沢市はもともと福岡市と同設定でしたが、市民アンケートなどの声を反映させ、令和6年10月より4,999円以下は免税という改正が行われました。京都市では今後さらなる増税も検討されており、「宿泊税」のあり方が全国で見直されつつあります。



■福岡県(福岡市以外)での「一律課税」の問題点

現在、福岡県(市外)では、一律200円の宿泊税が課せられています。


例:

  • 5,000円の宿 → 実質税率4%

  • 50,000円の宿 → 実質税率0.4%


福岡県内の安価な宿泊事業所は国内でも最高クラスの税率に相当し、実質的に安価な宿ほど不利になる制度です。宿泊税は消費税同様、宿泊事業者が預かって納める「間接税」であり実際の値上げとは異なりますが、宿泊業が現場においてこの負担を担っている。つまりお客さんからいただいたお金を納税するという形なので消費税と同様に実質的な値上げ感があります。たかが200円かもしれませんが小さいところでは年間数十万、大きいところでは数百万となります。





■実際に聞こえてくる現場の声

福岡県が実施した令和5年のアンケートでは、「宿泊税の徴収業務が大変」との回答が過半数を超え、**宿泊客とのトラブルがあったという回答も7.5%**に上りました。

また、坂本のもとには「田舎に移住してゲストハウスをやりたいが、宿泊税があるから福岡県ではやりたくない」という若者も訪れました。こうした声はまだ“少数派”として扱われがちですが、業界が盛り上がらない理由にもなりえます。


■八女市における二極化とその背景

現在、八女市ではNipponia、やべのもり、焚き火の森など、高価格帯の宿が市の支援や外から資本によって増加しています。一方で、昔ながらの家族経営の民宿や個人宿泊業者がこのタイミングで実質畳んでいるところも散見されます。もちろん県の宿泊税導入のタイミングとコロナ禍のタイミングが同じだったので。どちらの影響かは測れませんが、、、、

大きい所であれば経理に慣れたスタッフが作業を担いますが、小さい所であれば掃除、受付、PRなど何から何から何まで一人でやる、非常に勤務時間の長い業種でもありながら、更に仕事を増やされています。昔ながらのご年配の方であればアナログ記帳と銀行窓口まで空いてる時間にわざわざ出向かなければなりません



■イチ市議からの提案:より公平な制度設計を目指して

じゃあこれを改善するには具体的にどうすればよいのか? 

税金を徴収する、分配するというルール作りにおいて100%公平な設計をするというのは正直無理があります、しかしながらそれに近づけるように改善していくための研究、議論をする義務をになっているのは私たちの役割です。


そもそも宿泊税というものそのものが良い効果あるのかという議論がそれを評価するには非常に難しいところはあります。そして日本全国で宿泊税導入が促進される流れがある以上は、これを廃止するような合意にはまあならないでしょう。そこで僕からのできる提案はいくつかあります


1. 観光地や都市部に限定した課税

過疎地ではなく、福岡市など観光集中地域に限定して課税することで、福岡市一極集中の緩和につながる可能性があります。しかしながら欧米の都会や観光地の10%以上の宿泊税とは違いまだまだ日本は数パーセントと宿泊税は安いのでその人流効果は正直弱いしれません


2. 定率制(例:2%)の導入

→ 倶知安町のように一律の税率で課税することで、価格帯による不公平感を減らすとともに、税収増にもつながる可能性があります。


3. 階段課税制度の導入

→ 福岡県全体も福岡市に足並みを合わせる、2万円以上の宿泊に500円課税など、宿泊料金に応じて段階的に課税する方式の導入も一案です。不公平感は多少緩和され、100%税収増につながります


4. 免税ラインの導入

→ 金沢市のように、一定額以下は免税とする制度の導入を求めます。実際に今後福岡県に続き県で宿泊税を導入予定の長野県や宮城県では、6,000円未満を免税とする制度設計が進んでいます。他自治体の事例を参考にするという事であればこの提案が最も理解を得やすいと思うのでものすごく現実的です。



個人的には

宮城県と長野県の事例を模倣して3と4の複合が良いのかなとも思ってます。



■最後に

八女のような観光地でも都会でもない地域に、一律課税を課されてるいうのは、全国的に見ても極めて特殊です。現段階では福岡県だけといっても間違ってはないと思います。しかも現段階では国内最高税率となってしまっています。

昔ながらの宿泊業者たちの声が「ノイジーマイノリティ」として片づけられず、地域観光を支えてきた者たちが報われる制度となるよう、見直しを強く求めます。


宿泊税を改善することによって確かに市税としての税収も下がるというデメリットもありますが、そもそも他の九州の自治体では現段階では長崎市以外には存在していない状態で観光業は成り立っています。


「私はこの業界の一員ですが、だからこそ実情をよく知っています、自分だけ得をする制度が欲しいのではなく、このままの流れがエスカレートして“業界全体”において古き良き姿がなくなってしまう事を危惧しています。」「他の宿の声を集めた上で、構造的に不利な現状を改善したい、だから現実的な他自治体の“改善につながる事例”を紹介して、建設的な提案をしています。」


全国の動向を踏まえた制度の見直しを委員会にて検討いただきたく、切にお願い申し上げます。

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