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2025年3月、一般質問議事録

執筆者の写真:  Jiro Sakamoto Jiro Sakamoto

○3番(坂本治郎君)皆さんこんにちは。本日最後の一般質問をさせていただきます議席番号3番、坂本治郎です。今回の私の一般質問は、宿泊税の制度に関しての1点のみです。日本における宿泊税は観光資源の魅力向上や、旅行者の受入れの環境の充実など、観光振興を図る施策に要する費用に充てる目的税として近年始まりました。主に大都会や観光地で導入されており、細部のルールは自治体ごとに異なります。私たちに関しては、この制度自体は福岡県が実施している政策ですので、ここ八女市議会でその是非を直接議論することには限界があります。しかし、八女市の事業者にも影響が及んでいる以上、その在り方や使途に関して関心を持つのは当然のことです。しっかりと客観性を持って一議員として問題に感じていることや、業界の声、現場の声をこの場で共有させていただければと存じます。細部は質問席のほうでさせていただきます。


○市長(簑原悠太朗君)3番坂本治郎議員の一般質問にお答えいたします。宿泊税について、宿泊税が八女市の宿泊業者や、観光業に与える影響をどのように考えているかというお尋ねでございます。福岡県宿泊税交付金は、市町村がそれぞれの地域の現状と課題を踏まえ、創意工夫を凝らした観光振興施策を実施できるよう財政的支援を行うことで、県全体の底上げを図ることを目的とするものです。支援の対象としては、市町村が新たに、または拡充して実施する観光振興施策とされています。この宿泊税交付金を活用した観光施設の整備や、プロモーションにより八女を訪れる観光客や観光消費額が増え、これに伴う宿泊需要の増加でさらに税収が増えるといった地域により大きな経済効果、好循環を生み出すことができるものと考えております。次に、県から市に交付されている交付金の算定基準はというお尋ねでございます。宿泊税交付金は、県内の政令市を除く市町村の宿泊事業者から納入される1人1泊につき200円の宿泊税のうち100円分が市町村への交付金予算として計上されます。市町村への配分は宿泊者数による配分と旅行者数による配分の2つから算出をされます。次に、市ではどのような事業に活用されているのかというお尋ねでございます。

観光客の誘致のためにシェアサイクル導入による2次交通対策、観光施設の環境整備、案内看板の設置などに活用しております。また、市内のイベントだけでなく、都市圏からの誘客を目的とした福岡市のアンテナショップでのイベントの実施に活用することで観光入り込み客や、観光消費額の向上を図っております。次に、福岡県の宿泊税制度について市はどのように考えているのかというお尋ねでございます。宿泊税交付金制度が導入されたことにより観光事業に特化した事業に活用できるため、八女市の特徴ある施策への取組を推進することで、観光客の増加や八女市内での宿泊者数の増加につなげ、地域に経済効果をもたらすようにしていきたいと考えております。最後に、この制度を今後はどのようなことに活用していくのかというお尋ねでございます。第3次茶の国観光アクションプランの目標である観光入り込み客数270万人の達成及び観光消費額の増加を目指し、一人でも多くの方に八女市を訪れていただき、八女市の経済効果につながる取組を進めていきたいと考えております。以上、御答弁申し上げます。


○3番(坂本治郎君)御答弁ありがとうございました。まず、私が作成した資料1を参照していただきたいのですが、これ自体は昨年の11月時点での情報となりますので、今の時点では少し変わっている部分もあるという点は御容赦ください。現在、福岡市以外の福岡県の宿泊事業者は一律で1泊200円の宿泊税が課せられています。これは2020年4月に導入されましたが、ちょうどコロナ禍で宿泊業が最も厳しい状況に始まってしまいました。県に伺いましたが、この政策により八女市の宿泊事業所はコロナ以降、今ではおおむね年間25,000千円前後を納税していると伺っています。この税収が観光整備事業に活用されていることは理解しておりますが、宿泊事業者からは事務負担が増えたという声も聞かれます。事業所が間接税として納税を担っているのは現状、八女市の個人レベル事業所の中では宿泊業だけだと伺っています。特に従業員を雇っているわけでもない小規模な宿泊事業者の場合、掃除、予約管理、PR、接客全てを担わないといけないという非常に勤務時間が長いとされる業種でありながら、さらに宿泊税の徴収、納税の業務負担が大きく、例えば、デジタルに不慣れな方々であれば月ごとに手作業で記録し、銀行窓口の開いている時間、3時までに直接納税しに行かなければならないという現状にあります。実際に私自身直接そういった声も聞きますし、令和5年に実施されている県のアンケート調査には半分以上が宿泊税徴収義務で苦労しているとの回答があり、中には徴収に当たり宿泊客とトラブルになることがあるという数字が7.5%もありました。また、私が直接話を聞いた田舎移住を考えている若者の中には、将来、田舎移住して交流型のゲストハウスをやりたいが宿泊税があるから福岡県では開業したくないと考える人もいました。これは八女市だけの問題ではなく県全体の話ですが、全国的に見ても観光地でも都会でもない田舎に宿泊税を課しているのは福岡県だけです。結果として、八女市の観光や、移住や新たな宿泊施設の開業を妨げる要因になっている可能性もあるのではないかと私は思っています。これは県のアンケートの項目になかったので、ほかの自治体から引用しましたが、金沢市の公開している宿泊税に関するアンケートでは、宿泊税を導入していると知っていたら金沢には宿泊しなかったという意見も一部にありました。このような意見を持つ方は決して多くはないものの、一定数は存在することが分かっています。これを八女市に置き換えて考えた場合、もしかすると福岡県が宿泊税を導入しているから八女市には泊まらずに熊本県で宿泊するという判断をしている観光客もいるかもしれません。そういった影響を踏まえ、市長は八女市の宿泊事業者や、観光業への影響をどのように認識し、このような事情をどう考えるか、お聞かせください。もちろんこれは県の政策であり、市長の発言力や権限にも限界があることは承知しております。発言しづらい部分もあるとは思いますが、率直な感想やお考えを聞かせていただけたらと思います。


○市長(簑原悠太朗君)お答え申し上げます。今、坂本市議から御指摘いただきましたとおり、やはり宿泊事業者のお立場を考えると、その宿泊税の徴収、そして、納付業務というのは一定の負担になっているというところは私も容易に想像がつくところでございます。どうしてもそこは今、御指摘いただいたとおり、これは県の事業でございますので、この税の制度の在り方について市が直接何か改善をしたりですとか、変更したりというのはできないところではございますが、一方で、福岡県から交付されているこの宿泊税交付金、これは八女市の今観光事業にとっては非常に貴重な財源でございますので、しっかり事業者の方の負担を超える、その効果というものを発揮できるように効果的にその交付金というものを活用して、しっかりと利益が宿泊事業者の皆様に還元されるように取り組んでまいりたいと思います。以上です。


○3番(坂本治郎君)宿泊事業者への寄り添いありがとうございます。さらに福岡県の宿泊税は一律200円であるため、宿泊料金が安い施設ほど税率が高くなってしまいます。例えば、1泊5千円の宿泊料金では税率4%、50千円の宿泊料金では0.4%です。この仕組みは結果として低価格帯の宿泊施設に不利な制度になっているとの指摘があります。特に、八女市の宿泊施設の価格帯の傾向を見てみると、近年開業した宿泊施設は八女市としての全体的なバックアップを基に成り立っているものや、外からの資本が大きく入っているケースが多く、数千万円から数億円規模の予算が投じられた高価格帯の宿泊施設が増加しています。一方で、昔ながらの民宿やビジネスホテル、個人経営の宿泊施設は低価格帯を担っている傾向があり、価格帯による二極化が進んでいるように感じます。また、どの観光地でも最初に地域を盛り上げるのは安価な宿泊事業者であり、その後に高級宿が進出するというのが一般的な流れになっています。これまで八女の観光を支えてきた事業者が宿泊税の負担によって苦境に立たされるというのは私も課題に思っています。ちなみに日本全国で見て一律200円というのは福岡県だけになっています。市長の意見を改めてお聞きします。これは聞くまでもない質問だと思いますが、あえてお聞きします。稼ぐ八女をつくるというのは非常に重要なことであると私も認識しておりますし、高価格帯の宿泊施設は高級層を八女に連れてくるために必要なことであり、それを市がバックアップするというのは八女のブランド力向上のためにとても必要なことであると認識しておりますので、それはそれでとても重要な取組だと思っていますが、例えばですが、いろんなニーズがありまして、高級なコース料理なんかよりも素朴な家庭的な手料理のほうがよいという人たちももちろんいますし、人の数だけニーズもあります。安宿には高級宿にはできない八女のよさを生かした素朴な味わい、そして、交流などがあったりします。ビジネスホテルには団体客や利便性という強みもあります。そういったいろんなニーズに応えられるように、それらは平等に大切にされるべきだと私は思っておりますが、市長のビジョンをお聞かせください。


○市長(簑原悠太朗君)お答え申し上げます。市議御指摘のとおり、今、八女市には比較的安価な民泊、市議が運営されているスカイティーハウスも低価格帯に入ると思うんですが、そういったところを魅力に感じて、本当に日本中、世界中から人が集まっているというところもありますし、一方で、まさに高価格帯のホテルというのも最近八女市で少しずつ増えていまして、様々な需要を今、八女市で受けることができているのかなと思っております。これからそういったニーズも多様化していく中で、やはりどのようなニーズも受けられるような多様な宿泊施設、観光施設というものを整備していきたいと思いますが、今、宿泊税の負担率のところを御指摘いただきましたので、そこを少し言及させていただきますと、一律の金額を設定しているところが福岡県のみだけということで、確かに一律の金額ですと低価格帯のところほど宿泊者の方の税負担が大きくなるというのは制度上の一つの課題だなと思うんですが、先ほど事務負担の話を言及いただきましたけれども、一律にすることで税の徴収ですとか、納付をする事業者の方の事務負担が少しでも軽減する。やはり価格によって税率が変わると、都度その宿泊者の方によって税率を変えたりいろんな手続面での事務作業が増えると思いますので、そういった一律がゆえの事務負担軽減という事業者の方への利益もあるというところもあるのかなと考えております。以上です。


○3番(坂本治郎君)確かにほかの自治体でそういった声があるというのも聞いておりますので、それは市長のおっしゃるとおりだと思います。続けます。続いて、2と3について重ねてお聞きします。観光施設の整備やPR事業など様々な活用されているという点、了解しました。資料を作成いただきありがとうございます。私が思うのは、宿泊税は宿泊事業者が負担する形で徴収されているものであり、宿泊事業者の方々にとって納めた税がどのように活用されているのか、また、その効果を実感できるのかがとても重要であり、実際は何のためにやっているんだろうという疑問に思っている方もいらっしゃいます。さすがに八女市の財源の全体からすれば割合はどうしても大きくないので、限定的になってしまいますし、その中で執行部の方々も何が正解につながるのか、非常に難しい選択を迫られた中で選択をしないといけないということであり、御苦労されているかとお察しいたしますが、負担を担っている業者の納得感というのも非常に重要な観点だと思います。そのため、交付金の使い道について宿泊事業所や、観光業界の声をどのように反映しているのかというのをお聞きします。


○観光振興課長(荒川真美君)お答えいたします。どのような形で使われているかということなんですが、実はこの宿泊税は県が導入しました令和2年、このときに2つ大きな目標をつくっております。1つは県が主体的に行う観光事業、もう一つは市町村が行う施策の中の観光事業、これが大きなモンテンになっておりますし、これは福岡県の税を決定する機関がございまして、そちらのほうで検討しておりまして福岡県観光振興財源検討会議のほうで日程を決められたということでございます。使い方もきっちり実は決まっておりまして、こういう事業に使わないといけないというのが3つあります。1つは観光資源の魅力向上であること、2つ目が旅行者の受入れ環境の充実であること、そして、もう一つ3つ目が観光の振興を図るという目的、この目的以外には使わないでくださいということで、実際使う場合には内示があった後で事前に申請して県の許可を得て事業を実施しているところでございます。以上です。


○3番(坂本治郎君)すみません、重ねてお聞きします。事業者の声というのは何か聞くことができますでしょうか。


○観光振興課長(荒川真美君)お答えいたします。実は令和2年度に導入が決まりまして、翌年から3年過ぎた令和5年、こちらに宿泊税の検討委員会を福岡県がつくっております。この検討委員会にはANTAという全国旅行業協会、JATAという日本旅行業協会、また、福岡県の商工会議所でありますとか、あと旅館業協同組合、こういうところが会議を持ちまして、そこで事業者の方にアンケートを取っております。このアンケート、福岡県内にある宿泊事業者、大体576ぐらいあるらしいんですが、回答があったのは25%程度だったということで、その回答を見ると、この宿泊税に対するクレーム的なところも実際ございました。ただ、そのクレームが全体の2.5%とか、ちょっと言ったらいかんけど、微々たるものということで、それを基に県のほうも審議会の中で、この税を今からどうするかという結果の中で、令和5年7月に出ております報告書、これは福岡県のホームページにも載っておりますが、これを基にそれ以降も同じように同率200円ということで決定がなされたところでございます。以上です。


○3番(坂本治郎君)了解しました。次に、続いて4つ目の質問に行きます。日本の宿泊税は主に大都市を有する東京都、大阪府、京都市に始まり、それに続いて観光地である金沢市、ニセコリゾートを有する倶知安でも宿泊税が導入されまして、そして、福岡県はそれらに続いて施行されたため、日本全国でも早い段階で宿泊税を導入した自治体の一つとなりました。宿泊税は地方自治体が宿泊施設を利用する宿泊者に対して課す税金なので、事業者がそれを代行して徴収するという形となっているだけなので、厳密には値上げではないものの、宿泊者から見れば宿泊費の総額が増えるため、結果として値上げのようなものに感じられることがあります。また、宿泊事業者の立場からすれば、お客様から頂いた総額の一部を自治体に納める形となるため、実質的に売上げ額に対する課税のようにも受け取れます。たかが1人1泊200円と思われるかもしれませんが、小規模な宿泊施設であっても年間では数十万円、大きな事業所では数百万円にもなる負担となっています。次に、私が作成した資料1の2つ目のグラフを御覧ください。このグラフから分かることは多くの自治体の宿泊税の税額は宿泊代が10千円や20千円といった基準によって変わるため、一概には言えませんが、平均すると1%から2%であるということが読み取れます。現在、都道府県単位で宿泊税を施行しているのは東京都、大阪府、福岡県のみです。さらに福岡県は京都市、ニセコ市と同様に免税価格帯がないため、低価格帯でも200円の課税が行われています。そのため私たち八女市の低価格帯の宿泊事業者は日本全国でもトップレベルの課税率となってしまっている現状です。大都市だったり、インバウンド観光客であふれ地価が高騰する京都市やニセコとは異なり、福岡県は一部のエリアを除けばオーバーツーリズムとは無縁の自治体ばかりです。つまり観光地でもない田舎にまで課税されているというだけではなく、私たち八女市の低価格帯の宿泊事業者は日本一の税率を支払っているのに対し、高価格帯の宿の税率は微々たるものとなっています。八女市で宿泊事業を営む場合、地元の事業者同士で比較しても、全国的な広い視点で比較しても、このような不公平感と向き合わなければなりません。この制度自体は高級層、一般層という税率という考え方ではなく、観光に要するインフラは1人200円ぐらいだろうという考え方に基づいていると考えられるので、この考え方自体がおかしいとは思いませんが、福岡県だけが全国の制度と足並みがそろっていないために、こうした不公平さに対する事業者の不満も多く聞いています。この状況について市長はどのようにお考えでしょうか。ちなみに福岡県のホームページには市町村が宿泊税を新たに課す場合、県税の税率は宿泊者1人1泊につき100円となりますと書いてあります。これは不公平感の是正とか、納税額を伸ばすという場合は高価格帯にさらに課税するということにより不公平感を減らすということもできると私は捉えるのですが、このような独自の考えなど現段階ではありますでしょうか。


○市長(簑原悠太朗君)お答え申し上げます。先ほどこの宿泊税率のところを少し先走って触れてしまいましたが、この金額が一律というのは今、議員から御指摘のあったとおり、宿泊事業者、または宿泊者の方によって場合によっては不公平感を招いてしまうという指摘はそのとおりだと思います。ただ、先ほど申し上げたとおり、やはり税率、金額が一律である、または免税点がないというところは事務手続面では非常に有利、事業者の方にとっては機械的に宿泊者1人につき200円を取ればいいという、それだけの作業でございますので、そういった点で事業者の方にある意味寄り添った税負担という言葉を使われましたけれども、実際に税負担をするのは宿泊者の方で、宿泊事業者の方はそれを徴収して納付という形で実質の負担はないわけですので、事務負担を減らすという意味では今の福岡県の制度はある意味理にかなっている部分もあるのかなと思います。八女市独自の宿泊税というところは今現時点では考えておらず、八女市はまだこれからさらに宿泊者を増やさないといけない。日本全国を見ると福岡市もそうですし、オーバーツーリズムに苦しんでいるところもありますが、やっぱり八女市はさらに宿泊者数を増やしてもっと経済効果を増やしたいと、今そういった状況かと思いますので、宿泊税という形ではなく、まずはしっかり宿泊者数、八女を訪れる方を増やして、そこからお金を落としてもらう、経済効果を生み出す施策を中心に考えていきたいと思っております。以上です。


○3番(坂本治郎君)社会のインフラを維持していくために税収を確保し、取られるところからしっかり取っていくという考え方は確かに否定できません。また、旅行者は比較的生活に余裕がある層が多いため、宿泊税を課税するということにも私は反対ではありません。しかしながら、現在の日本社会では格差が広がり続けており、多くの日本国民にとって生活は以前よりも厳しくなっています。そうした状況の中で、傾向として多くの方が利用しやすいのが手頃な価格帯の宿泊施設ではないでしょうか。福岡県の宿泊税の例を見ても、繰り返しますが、このグラフを参考に安宿の税率は4%であるのに対し、高級宿は税1%以下にとどまっています。手頃な価格の宿泊施設は利用者にとっては必要インフラのようなものであるのに対し、高級宿泊施設はぜいたく品であるわけなので、課税率の設定はむしろ逆であるべきではないかと私は考えます。そこで、一例として金沢市の宿泊税の改正事例を紹介します。資料2を見てください。金沢市はもともと福岡市と全く同じ税額で20千円以下であれば200円、20千円以上であれば500円という課税体系でした。しかし、今年度10月より税制が改正され、5千円未満の宿泊料金は免税となりました。この改正が実施された経緯を問合せたところ、金沢市では宿泊事業者や市民へのアンケートを実施し、その意見を基に宿泊税の課税基準の見直しを行ったということです。この結果、低価格帯の宿泊施設や、利用者の軽減負担を目的として5千円未満の宿泊税を免除することになりました。こうした事例を参考に福岡県でも同様の見直しを求めるべきではないでしょうかと思いますが、仮にもし市長が県にこのような制度に対して発言を行うことができるとした場合は市長会などいろいろあると思いますが、ほかには県への意見、どのような形での意見が、どのような方法が考えられるのか、お答えいただけますでしょうか。


○市長(簑原悠太朗君)お答え申し上げます。今、議員のほうから御紹介いただいた金沢市の制度につきましては、先ほど申し上げた事務負担という意味ではちょっと事業者の方は少し増えてしまうのかなと思う一方で、担税力のある高価格帯に宿泊される方からより多く取るというのは平等性の観点からは理にかなっている部分もあるのかなと思います。何か直接的に宿泊税の関係で県と何か議論をする場というものは、今、私自身が参加する場というものがあるわけでありませんが、この観光政策というのは八女市という単位だけではなくて、やはり県で、場合によっては九州全体で取り組む必要があるところでございますので、今後、福岡県をはじめとして、近隣自治体と宿泊税に関して話をする機会があった場合には、坂本市議からの御意見も参考に、見直しの可能性についてはしっかり議論をしていきたいと思います。以上です。


○3番(坂本治郎君)現場の苦労に御理解いただきありがとうございます。さらに視野を広げて考えたとき、日本の宿泊税は世界的に見てもまだまだ低い水準にあります。例えば、フランスのパリでは宿泊税が1泊当たり日本円にして160円から800円、これは宿泊施設のランクによって異なります。イタリアのローマでは480円から1,100円、市長が留学されたオランダのアムステルダムでは宿泊費の12.5%、ニューヨークでは宿泊税の14.7 5%プラス1泊当たり520円が課税されるなど、観光都市では税率が高めに設定されている傾向があります。これらの国々では宿泊税はオーバーツーリズムを解消するための政策の一環としても活用されており、特に大都市や観光地に重点的に課税されるのが一般的です。この考え方を福岡県に当てはめると、一極集中を緩和するために福岡市を高く課税し、それ以外の自治体は免除するという選択肢もあるのではないかと私は思います。例えば、太宰府、柳川、糸島などの観光客に人気エリアでも福岡市から日帰りで行けるために観光客が伸び悩んでいるという意見も聞きます。こうした地域の宿泊税の在り方についても市長会などを通じてぜひ議論をしていただきたいと思います。また、宿泊税の撤廃ではなく是正を求めるとすれば幾つかの選択肢が考えられます。倶知安のように定率2%にすれば業者間の公平感は生まれます。さらに資料3を見ていただきたいのですが、福岡県に次いで2番目に県として新たに宮城県で創設されようとする案であれば6千円以下の免税設定もありますし、値段による階段式であり、宿泊料金によっての設定も区別されていて安価の事業所の負担と不公平感がかなり緩和されています。これらの設定のほうがもしかしたらですが税収も伸びる可能性も十分にあるかもしれないと私は思います。これも検証の余地も十分にあるとは思います。市長のほうからこうした事例をぜひ県で議論する場合があるときは出していただいて、こうした制度の見直しについて県に対して宿泊税の課税基準の再検討を求める働きかけを行うことは可能でしょうか。


○市長(簑原悠太朗君)お答え申し上げます。今、宮城県の事例を御紹介いただいたとおり、この宿泊税の拡大というのが全国的に広がっているところですので、恐らくその広がりを受けて福岡県、また、各福岡県内の市町村でもその在り方についてはいろいろ議論がなされていると思います。まずはしっかり今後、県内の市町村会等でほかの市町村の首長、または県のほうとも様々議論する場はありますので、まずは各市町村がどう考えているのか。もちろん当然、宿泊税に限らず全ての税制度について常に市民、県民にとって使いやすいものにしていくというのが行政の役割ですので、それは宿泊税に限らずそういった市民に広く影響のある税制の在り方については検討をしっかり議論してまいりたいと思います。以上です。


○3番(坂本治郎君)答弁ありがとうございます。先ほどは宿泊税そのものの八女市からの撤廃のようなことを訴えてしまいましたが、どうしても八女市に裁量権がない以上、あるものはしっかりと使っていく必要があります。先ほどの意見とこれからの意見はどうか切り離して考えていただけたらと思います。5番目の今後はどのように使っていくかについて御質問させていただきます。石破総理も楽しい日本というスローガンを発言しております。そこに最もフィットする制度はこの制度ではないかと私は思いますし、私のほうからも要望といたしましては、地域の未来を担う重要な存在である若者が八女市に魅力を感じわくわくするような観点を持って取り組んでいってほしいです。今後の使途に関しては事業所や訪問者の意見もしっかりと参考にしつつ、今であればAIなども活用して多角的な意見を集約できたりもしますし、ぜひ県がやっているアンケートを基に議論を重ねて答えを出していただきたいというのが私からのお願いです。この点に関してツーリズムという言葉の汎用性についてお伺いします。ツーリズムというのは非常に柔軟に活用できる概念であるので、それに合わせた柔軟な宿泊税の使い方ができないのかとお尋ねします。例えば、1つ目はワーケーションの推進として南仙荘などの施設をもっと有効活用するため、移住・定住を促進するノマドワーカーの方々への長期滞在先のような環境整備はできないでしょうか。2つ目はロケツーリズムの推進です。映画やドラマの誘致による地域活性化、ロケツーリズムの推進はできないでしょうか。3つ目はスポーツツーリズムの推進です。これまでの一般質問で同僚議員からも公園整備の要望がたくさん上がっておりますが、運動公園という形で今ある公園を整備することにより、子育て世代のニーズにも応えられないでしょうか。併せてバスケットボールなどのスポーツ振興を図られないでしょうか。前回も言いましたが、なぜバスケットボールなのかというと、バスケは人気スポーツでありながらもなぜか日本にはバスケができる公園があまりありません。近隣自治体にも本格的な野外バスケットボールコートがない現状を考えると、それを整備すれば当然人の流れをつくられる可能性が十分にあります。バスケットボール経験者の市民も十分に喜びます。この点に関してスポーツ事情に詳しい市民の方の意見では、スリーオンスリーのプロリーグを誘致することによって物すごい数の人の流れと経済効果があるだろうとの声もいただきました。今の八女の宿泊税交付額が15,000千円前後ということなので、立派なバスケットボールコートを造るとしても予算規模で言えば非常に適した額なのではないかと私は思うのです。これらの政策は観光振興課の範疇を超えてしまうと思われますが、宿泊税の使途として理論上可能なのでしょうか、お伺いします。


○観光振興課長(荒川真美君)お答えいたします。宿泊税の使い道ということで御質問があったかと思いますが、まず、使い道は先ほどお話ししましたように、観光客、そういう売り込むために使ってくださいということです。御存じのように、先ほど市長の答弁にもございましたが、八女市は270万人という観光客の誘致を図っておりますし、昨年度の旅行者の観光消費額が大体34億円ぐらい。今年度につきましては、徐々に回復しておりまして、多分200万人を超えると思われております。これは八女に定住する、長くいらっしゃることで宿泊税を払ってもらうことで、1泊、それで費用が賄えることでございますので、とてもありがたい政策なので、今後使うとするのであれば、今お話ししましたように、観光客が一人でも多く八女に訪れるための施設の改修であったり、そういう新しい事業かと思います。ただ、先ほど言われましたスポーツツーリズム、これにつきましては、例えば、グリーンピア八女で泊まっていただいて、バスケットをしてもらってやるという企画をやるとか、そうやつを例えば、指定管理施設とかと連携してやるということも一つの案かなと。今日、議員のほうからいろんなアイデアをもらいましたし、ほかにもワーケーションも令和2年には実施しておりまして、このワーケーションもJALであったり、そういうところも来ていただいた経緯もございます。ただ、なかなか地元に根づかないということもございまして、今後も積極的にそういう方向に企画を入れていけたらと思っております。


○3番(坂本治郎君)次に行きます。過去の宿泊税の使途として、これは宿泊税なのかちょっと分からないですが、インフルエンサーを活用されているという新しい感覚にもトライされているという点に興味を引きました。これは八女市の案件なのでしょうか、スーツさんというユーチューバーの方が八女のことをしっかりとPRしてくれている動画、私もしっかりと視聴させていただきました。これは自治体からの案件ということでしょうか。それはどういった基準で選択肢、どのぐらいのコストがかかったのかというのをお聞きしてもよろしいでしょうか。


○観光振興課長(荒川真美君)お答えいたします。令和3年度実施しております既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業という事業が国にございまして、この事業が総事業費、ソフトとハードと入れますとソフト事業が49,164千円、それとハード事業が18,856千円、これについては国のほうが8割、9割出しているんですが、残りの不足分を実は補助裏として宿泊税を充てている補助事業でございます。先ほど、ソフトの中にスーツ観光入っておりまして、その当初はですね、スーツさんのフォロワー数もまだ20万人ほどだったんですよね。ユーチューバーの方というのは大体フォロワー数の人数によって金額が変わりますので、うちは200千円で当初お願いをしたところです。ところがじゃんじゃん人気が出まして、今もう100万人以上のフォロワーを持っていらっしゃるような大バズりというんですかね、そういうところでよく見ていただいておりますし、つい一月ほど前、オープンされたのは1週間ほど前ですが、あと、がみさんという、この方も旅行の方なんですが、これは文化振興課のほうが伝建地区をPRする動画を行っておりまして、これはスーツさんのほうがボランティアで来ていただいたという経緯がありまして、ユーチューバーとか、そういうのは積極的に活用していきながら、こういう補助金、宿泊税も活用していくところでございます。以上です。


○3番(坂本治郎君)御答弁ありがとうございます。200千円で100万回再生ということは1再生当たり0.2円ということなので、再生数だけで見たらかなりコストパフォーマンスが良いと言えると思います。しかしながら、デジタルマーケティングを基に判断するならエンゲージメント、視聴者属性、コンバーション、ブランド認知度など、トータルで評価しなければならないと言われています。私もそんなに詳しくはないなりに視聴者目線で検証してみましたが、いいねの数が7,000件、コメントの数は4,300件というエンゲージメント、そして、スーツさんのユーチューブチャンネルは幾つかありますが、合計で3,500本くらいの動画を出していて、八女のPR動画自体は上から数えて200番目ぐらいに再生されています。これはスーツさんの動画の中でも上位5%なので、これはスーツさんにとっても恐らくありがたいオファーだったのかと思われますので、ボランティアで来てくれたのかもしれません。これは私の素人判断になってしまいますが、客観的に見ても成功した事例だろうと思っています。さて、質問なのですが、こういったデジタルマーケティングの先ほど聞いたこともないような言葉を述べさせていただきましたかもしれませんが、こういったデジタルマーケティングの専門用語とかノウハウとか、そういうことを基本的に熟知されてる方は市職員にいらっしゃるのでしょうか、お聞きします


○観光振興課長(荒川真美君)お答えいたします。議員おっしゃったように、このデジタルマーケティング、これはとても今からの観光事業には大切なところでございます。ただ、おっしゃったように市の職員はそれ専門で仕事をしているわけではございません。そこで、実はちょっと前にもお話ししたと思うんですが、今年度、令和7年度は観光庁の補助事業を取っておりまして、これはビッグデータを取って、今どこに何人どういう外国の方が来られているかとか、そういうデータを集約しており、現在それの報告を作っているところでございます。これは1年ではいかんということで、来年度以降も観光庁の補助事業には手を挙げますし、この補助裏としてもやはり宿泊税を使わせていきたいと。それともう一点、これは市のほかの課も使えるようなデータ化をしたいと考えておりまして、今後、また市と直接御相談していくという形になると思うんですが、そういうのもやっぱり観光客の呼び込みとか、定住に使っていけたらと考えているところでございます。以上です。


○3番(坂本治郎君)こういったデジタルマーケティングのことが仮に分かっていなくても、世の中に一般的に受けるのかどうかという論理なので、分かっていなくても何となくは分かると思いますので、必ずしも必要ではないですが、もしそういった人材を探すことが難しければ、そういったいろんな研修のメニューがあるかと思いますが、そういったところに職員の人材投資をいただくことを私は要望いたします。八女を世界にという市長のビジョンにも、そういったデジタル面に強い方は必要なのではないかと思います。例えば、今のテクノロジーをもってすれば、AIを使ってネーティブでも驚くほどきれいで自然な外国語の文章を使って世界に発信することも簡単にできます。デジタルマーケティングが分かっている人が八女を発信するのであれば物すごく強みになりますので、ぜひ御検討ください。ちなみに、今後もインフルエンサーを誘致するビジョンはありますでしょうか。


○観光振興課長(荒川真美君)お答えします。インフルエンサーこそ今は星の数ほどいらっしゃいまして、どのインフルエンサーが八女の観光に向いているかというのを選ぶのが今本当に難しい時代になってきていると思います。もし今後はやっぱり高付加価値のつくツアーを造成する場合には今までみたいな紙ではなくて、ウェブ関係でのPRを積極的に行いたいと考えておりますので、今後、そういう補助事業取られましたら、その企画の中にぜひインフルエンサー入れさせていただきたいと思います。以上です。


○3番(坂本治郎君)八女の方、八女出身の方でもインフルエンサーもいらっしゃいますし、福岡県内の方などにもぜひ目を向けていただけたらと思います。今回のトライがぜひまぐれで終わらないように、そういったところにもしっかりと力を入れてしっかりと議論して検証していって、引き続きトライしていってください。期待しています。

最後に1つ、業界で起こっていることをここで共有させていただきたいのですが、先ほど申し上げた災害とか有事の際には、被災者を受け入れるためのボランティア精神に基づいた宿泊施設のホームページ上のネットワークが立ち上がる傾向があります。最近の事例では、久留米の災害や能登の災害時にも、そのような取組が見られました。とある宿泊サイトではウクライナ避難民のボランティア無償受入れを表明した宿泊施設も日本全国に多々ありましたが、国の制度上は障壁があり、実現には至りませんでした。こうした状況の中で、最も迅速に手を挙げるのは多くの場合、個人経営の宿泊施設です。大規模な宿泊施設や、高級宿泊施設は柔軟な対応が難しいため、こうした役割を担うことが少ないのが現状です。宿泊施設は単にツーリズムのためだけではなく、社会貢献の場としても重要な役割を果たしています。特に個人経営の宿泊施設は小回りが利くという特性で生かし、積極的に社会貢献も行ったりもしています。市としても、こうした宿泊施設の社会的な役割に目を向け、有事に向けた支援や協力の体制を整えていただけたらと思います。ぜひこの点についても検討いただければ幸いです。ホテルを誘致するというのも一つかもしれませんが、今であれば民泊というのも市民権を得ていて低コスト、低負荷でも成り立つようなものになっております。そういったものを推奨するのも一つではないかと私は思います。以上で私の一般質問は終わります。ありがとうございました。

 
 
 

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